「世話してもらっているから、平気になったのか?」
御影は放心状態から脱したようだ。
鋭い視線を取り戻し、綾菜に詰めよる。
「なにが?」
「お前、久我がそばにいても倒れないだろ?」
この質問は自身がある。
綾菜は胸を張った。
「男性だと意識するとダメみたい。私、久我さんを男のひととは思えなくて。だから、大丈夫」
だって、魔王だから。
こころの中でそう補足する。
「綾菜ちゃん、最高っ! 気の毒だけど、これは笑える」
我慢ができないとばかりに、真坂はお腹を抱えて、大笑いをはじめた。
こんな些細なことが面白いなんて。
笑い上戸なのかな。
