「まあ、まあ。琥珀語はわかりにくいんだよね。バカって言ったのは、とっくに捜索済みだってこと」
「捜索済み?」
寮生の個室を探すには、御影と真坂に頼むのが一番早い。
そう助言され、綾菜は久我と一緒に、次の消防点検のときに入らせてもらえるよう頼んだ。
「私、母のリングを探していると言ったけど、手伝ってほしいとは……」
理由を話さないでお願いすることはできなかったから、探していることと、暖炉にある可能性だけを二人に伝えた。
当然、頼るつもりはない。
「だって、琥珀が綾菜ちゃんの喜ぶ顔が見たいって言うからさ。ねー、琥珀」
「勝手に話を作るな! ……掃除のついでに、確認しただけだ。」
肩に回ってきた真坂の手をぱしりと払って、御影は怒鳴った。
怒っているせいか、頬が赤い。
「琥珀は素直じゃないなー。そんなとこも可愛いけど」
「純也。一度、あの世に行ってみるか?」
