「で、綾菜ちゃんは僕らに用事? 運営室に自分から来るなんて珍しいよね」
ソファーを移動せずとも、向かい合わせに会話ができるのはうれしい。
少しずつ体質改善ができていると実感できる。
「違うの。ちょっと、この部屋の暖炉を見せてもらいたいな、と思って」
個室のものより、一回り大きい暖炉。マントルピースも彫刻が施され、豪華だ。
大切な想いだから、立派なほうの暖炉に隠そうと思っても不思議はない。
「お前、バカか?」
御影の即答。
「他人をバカと言うひとは、自分もバカだと習わなかったの?」
綾菜も早かった。
もうこの眼鏡男に遠慮する気はない。
「二人とも、仲良くしすぎると僕が妬いちゃうよ」
「誰と誰が!」
「仲良しなの?」
フレーズを綺麗に繋げて、綾菜と御影は叫んだ。
息が合っていると、いえなくもない二人だ。
