まだ涙が乾ききらない瞳で久我を見あげると、ぱちんと鼻を弾かれた。 「優しくしているとルームメートどまりになるらしいから、素に戻ると決めただけ」 「素に戻る……」 こころの中で必死に意味を咀嚼する。 戻るということは、今までの態度はありのままではなかったということだろうか。 「仮面を被るのはやめにしたんだ」 また妖しい笑み。 魔王降臨。 王子の姿は幻だったことを綾菜は悟った。