「少しは、落ちついたか?」
泣かせた本人に慰められて、穏やかな気持ちになるなんてどうかしている。
「意地悪、するから……」
「泣いたら、やめてやっただろ? 不満か?」
いいはずがない。
ないが、魔王と一般人とではものの考え方が違う気がして、わかりあおうという意欲もでない。
「私、怒らせるようなことしましたか?」
はじめて会ったときから親切なひとだった。
同室になってからも、すごく気を遣ってくれた。
もらった鈴のペンダントヘッドは、今では母の形見の次に宝物。
急に乱暴になったり、唇を寄せてきたり。
気づかないうちに、怒らせるようなことをしてしまっていたのなら謝りたい。
「別に、怒っていない」
「だって……」
