「私、ダメです」
「気分悪いのか? 半崎?」
倒れないのかと聞いてきたくせに、焦った声になるなんて変なひと。
具合が悪いわけではない。
いっぱいいっぱいなだけ。
「なんか、泣きそう……」
はじめての感覚が連続しすぎて、こころも身体も許容できない。
もう、限界。
綾菜は久我の胸の中で、ぽろぽろ泣きだしてしまった。
「半崎……」
甘い声が少し掠れて聞こえる。
背中に回っていた手が、なだめるように頭に移された。
「大丈夫」
そのまま、ぽんぽんと軽く叩かれると、不思議と混乱した気持ちがおさまってくる。
「久我さ、ん」
今、頼れるのが久我だけだからなのか、それとも久我だからなのか。
わからないまま、安心だけが欲しくて、綾菜はすがりついた。
