いっぱいいっぱいなのは、身体なのかこころなのか。 綾菜は久我のシャツにすがりついた。 いやいやをするように顔を小さく振る。 「ったく、オマエは……。ほかのやつなら、逆効果だぞ」 限界だと理解してくれたらしい。苦笑しながら、久我は手を引いてくれた。 腕をひかれ、身体を起こされる。 反動で、久我の胸にこつんと頭をつける格好になった。 また、少し鼓動が跳ねる。 「オマエの男嫌いが治って、どれだけ俺がうれしいかなんて、ちっともわからないんだろうな」