相手をさせられているのは、同じ一年の東久保理佳。寮運営委員の一人でもある。
「アンタのどこが、守ってあげたくなる子なんだよ。純也のやつ、でまかせばっかり」
「えっ? 私は理佳ちゃんに守ってもらって、本当に助かっているよ」
力づけようとにっこりしてみせるが、理佳はかえってがっくりと肩を落とした。
理佳の存在は、綾菜が男性と接触する機会を減らすため、御影らが考えた作戦。
「ホント、理佳ちゃんといると男のひとが近づかなくて楽~」
「相対的にそうなるだけだ」
呆れ顔の理佳とともに、窓際の席を陣取ると、効果は即座に現れた。
「理佳。前に座っていい?」
「ずるーい。じゃあ、私は斜め」
「私は後ろ」
「私もっ」
右も左も後ろも前も女の子。