「うちのアザミ寮は、定期以外の居室変更と同室者の変更は禁止なんだ。運営委員権限でもダメ。例外を認めると揉め事になる」
「で、でも男女同室は滅多にないと聞きました。だから……」
「純也が部屋決めを間違ったんだ。あいつ、意外といいかげんでさ」
久我が肩を竦める。
笑ってすませられる問題ではない。
「間違いなら、正しましょうよ。私は、女の子と一緒の部屋がいいです」
というか、そうでなくては困る。
「無理だな。たとえミスだろうと、一度決定した部屋は、次まで変更しない規則になっている」
「そんなぁ」
綾菜は真坂を、変人だけでなく、うつけ者としてこころに刻みつけた。
