「うん。綾菜ちゃんが慣れるまで、寮運営委員のみんなで、気を配る。同室者にも言い含めておくから」
天使のような笑顔で言われると、なぜか大丈夫と思えてくる。
男女混合なんていう、とんでもない環境でもやっていける可能性があるのだろうか。
「でも、もしずっと苦手なままだったら……」
「その時は、寮の野郎ども全員に半径五メートル以内に近づかないよう命令を出す。話しかけるのも禁止だ」
「最後の手段だけどね。せっかくの男女混合寮。僕らは綾菜ちゃんに性別関係なくみんなと仲良くなってほしいんだ」
――みんなと仲良くなってほしい。
真坂の言葉は綾菜のこころにすとんと入ってきた。
イギリスにいたときのように、寮のみんなと楽しく過ごしてみたい。
「私も、みんなと仲良くなりたいです」
