「申し訳ないくらい頼っていると思いますけど……」
幼い子どもに戻ったかと錯覚するほど世話を焼かれている自覚はある。
だから、さらに手がかかる子だと思われたくなくて、数学が苦手なことを話せなかったのだ。
「……そう思うなら、御影に頼むな。勉強くらい俺がみてやる」
小首を傾げたまま、綾菜はめまぐるしく頭を働かせた。
ダメなところが多すぎて、呆れられたと思いこんだのは、もしかしたら間違いなのだろうか。
「あの……。もしかして、私が勉強ができないことを呆れたわけじゃなかったんですか」
「はじめからそう言っているだろ」
心配が杞憂だとわかり、少しだけほっとする。
でも、やはりわからない。
まさか、御影に勉強を教えてもらったのが気にいらないというわけではあるまいし、なぜ態度が冷たくなったのだろう。
