髪を撫でる心地よい手の感触とともに綾菜はベッドで目を覚ました。
「大丈夫か?」
気遣わしげな久我の顔が目に入る。
ちゃんと運んでくれて、しかもそばにいてくれたんだ。
いつもの優しい久我だとわかりほっとする。
「久我さん」
ちゃんと話したい。綾菜は髪を撫でてくれている手を握った。
両手で祈るように包みこむ。
「どうした?」
耳に届く穏やかな声。
今なら話せる。
「私がバカで呆れちゃったんですよね。成績があがるように頑張るので、もう少しイヤになるのを待ってもらえませんか?」
「オマエ、なにを言っている?」
正直な気持ちを言っているだけ。
信頼されていないかもしれない。
呆れられているかもしれない。
それでも、そばにいたい。ふさわしい同室者になれるように努力するから見捨てないでほしい。
「久我さんが私にこころを許していないこともわかっています。ダメなところばかりで呆れたことも。でも、私……」
