「僕と琥珀は中等部からずっと同室なんだ。お尻にあるホクロの数までお互い知っている」
「殺られたいのか、純也」
腕を振り払って、御影が怒鳴る。
真坂は綺麗な顔をだいなしに崩し、大声で笑った。
綾菜は少しほっとした。
少々、過激ではあるが、女子寮でのじゃれあいと変わらない光景。
男の子もそれほど違わないのかもしれない。
「で、綾菜ちゃんは男が苦手なんだよね」
「……はい。近くで話しかけられたり、そばに寄られたりすると気持ち悪くて」
「慣れれば平気だろ?」
身もふたもない御影の言葉。
綾菜は、さすがにむっとして睨んだ。
「お前、睨んでも迫力ないな」
「なんですって」
「まあまあ。琥珀は綾菜ちゃんの大きな目が可愛いって言いたいだけだから、気にしないで」
「純也っ」
再び踏まれそうになった足をブロックし、真坂は本題に入った。
