「琥珀、ひどいよ」
なにもしていないのに、この仕打ちはない。
水滴がついた顔を手でぬぐって、綾菜は御影を睨んだ。
「一応、言っておく。寮運営委員は成績優秀者しか就任することができない」
「そうなの? じゃあ、琥珀は五十番くらいには入っているってこと? すごいね」
意外とかしこいんだ。
綾菜は驚きつつも関心した。
「トップだ。バカ」
理佳に続き、宇宙人がここにもいた。
「……おみそれしました」
同類なんて言ってごめんなさい。
綾菜は平伏しそうなほど頭を下げた。
聞けば、久我と真坂も常に二位三位の定位置をキープしているらしい。
勉強が得意なひとが周囲に四人も。狐につままれたような気分。
「で、どうするんだ? 教えてくれと頼むなら今だぞ」
ようやく話がみえた。
この意地悪眼鏡は、親切な提案をしてくれていたらしい。
わかりにくいけれど、実はいいひと。
「よろしくお願いします」
綾菜はもう一度平伏した。
