「この光景、不思議じゃない?」
美形の変人――副寮長でやはり高等部一年の真坂純也は、部屋の端に移動したソファーに座り、肩を竦めた。
「まあ、変ではあるな」
真坂の隣で意地悪寮長、御影がぞんざいに足を組む。
「お気遣いいただきまして、ありがとうございます……」
逆の壁につけたソファーに身体を沈めて、綾菜は小さな身体をさらに縮めた。
運営室の端と端にソファー。中央にポツンとテーブル。
向いあわせで話すセッティングとしてはあまりに不自然な位置取りだ。
しかし、これだけ距離をとってくれれば、綾菜も怯えずに会話ができる。
「僕は誰かさんみたく、女の子を壁際に立たせたまま話すなんてできないから」
「うるさい」
「おっと。琥珀は短気だなぁ」
御影が踏もうとした足を、ギリギリのタイミングで真坂がかわす。
妙に息が合った動きだ。
「二人は仲良しなんですね」
思わず、素直な感想が口からでる。
「なんで純也と俺が仲良くみえるんだ! お前は目が悪いのか?」
心外だといわんばかりに御影は顔を顰める。
真坂はといえば、嫌がる御影の肩に無理やり腕を回してみせた。
