「琥珀、私のことは気にせず行ってきて」
「ふざけるな。純也と久我はともかくとして、理佳が暴れたら誰が抑えるんだ」
「あっ、そうだね……」
プチバカンスに強制参加が決まったとき、真坂の面倒をみるのはごめんだと、大暴れした理佳だ。
綾菜が行けないとなったら、確実にまた暴れる。
「お前が補習になったら、俺が困る。なんとかしろ」
「そうしたいのは山々だけど、どう勉強したらいいのかわからないの」
綾菜は机にぺしゃりと顔をつけた。
途方に暮れるとはきっとこのことだ。
「教えてくれと頼めばいいだろ」
「数学の得意なひとに心当たりがないもの。理佳ちゃんは得意かもしれないけど、部活で忙しいし」
そういえば、御影はどうなのだろう。教科書を持って図書室にいるのだから、勉強しに来たことは確か。
余裕そうにみせているけれど、あまり自信はないのかもしれない。
「お前、本当に話の流れを読めないやつだな」
「なによ。琥珀だって、慌てて勉強をしに来たクチでしょう? 私と同類じゃない」
「お前、誰にものを言っている」
御影は頭にあてていたタオルをぴしゃりと投げつけた。
見事に綾菜の顔面にクリーンヒットする。
