「教科書のレベルはこの際忘れてやる。俺に礼をするんだろう? そうだな、八割で勘弁してやる。期末考査の数学でとってこい」
「誰もお礼をするなんて……。というか、その前に八割なんて無理。私の点数を見たでしょう?」
この眼鏡男の無茶ぶりは目に余る。
数学どころか算数でさえ、そんな途方もない成績をとったことがない。
「仕方がないな。なら、七割に譲歩してやってもいい」
全く譲歩になっていない。
なってはいないが、七割を取らなくては休みの補習は決定。御影のためでなく、切実に取りたいのは事実。
「……頑張りたいけど、きっと無理」
数学に関しては、勉強の仕方すらわからない。努力でなんとかなるものでは絶対にない。
「お前、まさか試験休みの約束を忘れているんじゃないだろうな」
「あっ」
そうだった。
試験休みにみんなで真坂の別荘に行く約束があったのだ。
補習を受けることになったら、当然、行くことはできない。
