「なあに、琥珀」
「落ちついて聞けよ」
落ちつけだなんて、なにか驚かせるような話でもするつもりだろうか。
綾菜は、御影の額に手を押しつけたまま小首を傾げた。
「私は冷静だよ」
御影はごくりと唾をのみこんだ。
意を決しなければ言えない話なのか。
さすがに少し不安になる。
「じゃあ、冷静なまま聞けよ。……今、ゼロセンチだ」
「へっ?」
綾菜は意味がわからず、御影を見あげた。
「この手は誰の手だ?」
御影は自分の額を指さした。
その額には誰かの手が触れている。
もしかして。
「私の手……」
「正解」
「うぎゃあああああっ」
やっちゃった。やらかしちゃった。
あまりの衝撃に、綾菜は御影を思いきり突きとばして絶叫した。
