「ほら。男嫌いの子リスちゃんもこう言っている。もう僕に恋しちゃった?」
「していません! それに私は男嫌いじゃありません。苦手なだけです」
誤解してほしくなくて、きっぱり否定した。
綾菜は男女問わず、誰かを嫌いだと思ったことは一度もない。
「近づくと気を失うのに、嫌いじゃないって言えるんだ。綾菜ちゃんだっけ? 可愛いなぁ」
「ひぃっ。来ないで」
今度は純也と呼ばれた美形が近づいてこようとする。
御影を止めてくれたくせに、同じことをしてどうするのよ。
「純也、近づくな。気絶するぞ」
「あっ、そっか。可愛くても触れないなんて焦らしプレイみたいだね」
「プレイとかじゃなく、私は真面目に言っているんです」
なんだか、調子が狂う。
綾菜はとりあえず、この純也を変な人と認定することにした。
