王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~


 ごてごてしいまでに肉感的な女性の裸が印刷されたパッケージが、綾菜の網膜に飛びこんできた。

 ビジュアルの力とはすごいものだ。予備知識がない綾菜でも、これが世にいうアダルト向けの製品だと直感で理解ができる。

「純也か?」

 地獄の底から響くような低い声。

 喜んでいない。

 絶対に喜んでいない。

 嘘つき、と綾菜はこころの中で真坂を罵った。

「部屋を捜索したときに発見したお宝の分け前だと言っていました。久我さんが上映会に来なかったからって……」

 リング捜索の副産物として発見されたというお宝。

 男子寮生が歓喜の渦に包まれたという宝がまさかこれだったとは。

「うれしく、なさそうですね」

「当たり前だ」

 衝撃で煮えた頭で綾菜は考えた。

 男の子ならみんな喜ぶといわれている宝。それを渡されたにも関わらず、久我はとても怒っている。

 考えられる理由はひとつだけ。

「久我さん、ごめんなさい。私、気づかいが足りませんでした。しばらく理佳ちゃんの部屋に行っているので、その間にどうぞ」