東久保理佳は悩んでいた。
対面に座った綾菜は、目玉焼きの黄身をどうにかして崩さないように食べようと苦心している。
聞くべきか、聞かざるべきか。
朝食に夢中のぽややん娘は、理佳の葛藤など気づきもしない。
「……いつもなのか?」
「なにが?」
口の端に黄身をつけてまま、綾菜はほわんとした笑みを浮かべた。
こんなに無防備だから、あんな癖のある三人に目をつけられてしまうのだ。
「だから……。やつと一緒のベッドでいつも寝ているのか?」
朝食の時間になっても、綾菜は理佳を迎えにこなかった。
不思議に思って部屋を訪ねた理佳は、自分の目に映った光景に絶句をする。
久我の腕枕ですやすやと眠る綾菜。
純粋培養された子に手をだすなんて。
綾菜が目を覚ますのがあと少し遅ければ、久我をこの手にかけていたかもしれない。
「夕べが初めてだよ。私が頼んだの」
綾菜は頬を染め、照れ笑いをしてみせた。
理佳は混乱した。
この純情娘が頼んだだと?
ありえない。
「綾菜。正直に言っていいから。久我に言いくるめられたとかだろう? 可哀想に」
