「綾菜っ」
理佳が急に大声をあげて綾菜を呼んだ。
ずいぶんと、慌てている。
「理佳ちゃん、どうかしたの?」
「……こころの声が口から出ている」
「へっ?」
綾菜は両手で口を押えた。
音にしたつもりはない。
ないが、もしかして――。
「意地悪眼鏡とは、まさか俺のことではないよなあ」
メタルフレームの眼鏡に手をやる御影。
口の端は上がっているのに、笑っているようにはとてもみえない。
「変態美女? もちろん褒め言葉だよね。綾菜ちゃんは僕にどんなプレイを望む? ぜーんぶ、叶えてあげる」
真坂は妖しい微笑みを浮かべた。
なにかを揉む仕草で両指を動かしている。
その指でいったいなにをするつもりなのか。
「悪口じゃないの。ホントに意地悪眼鏡と変態美女だと思っただけで、誤解しないで」
「綾菜。それ、墓穴だから」
理佳はどうしようもないとばかりに首を振っていた。
