憎めないのは確かだけれど、恨み節はがでるのは仕方がない。
注がれる大勢の視線。今からはじまるのは気絶へのカウントダウンだ。
「私、ホントにこれから気絶するのね。誰か夢だと言って……」
隣に理佳がいてくれていることだけが、こころの支え。
綾菜は前方にいる多数の寮生を、極力視界に入れないようにして前に進んだ。
三桁の男の子を直視したら、その時点でブラックアウトしてしまう。
「綾菜ちゃーん、こっちこっち。僕らはここだよ」
真坂が明るく叫んでいる。
一応、全員の中から指名する建前なのに、呼びよせるのはおかしくないだろうか。
やはり変わったひとだと呆れるが、選択肢はほかにない。
綾菜は御影と真坂の前に、とぼとぼと進んだ。
「俺と純也、お前はどちらを選ぶ?」
翻訳を必要としない直球の質問。
緊張がさらに増した。
「どちらと言われても、私……」
