「今からキャンセルはダメだよ。野郎どもはみんな、綾菜ちゃんが誰を選ぶのか、固唾をのんでいるんだから」
「どうして?」
女の子たちがうらやましいと思っている理由は聞いた。
けれど、男の子まで気にする理由はわからない。
「お前は周りも見えていないのか。久我に隔離されすぎなんだよ」
「隔離なんかされていないもん」
また、意地が悪いことを言う。
御影は目からだけでなく、口からもビーム攻撃をしてくるから、ホント困る。
「理佳ちゃんだって、男の子が気にする理由はわからないでしょう?」
一緒に首を傾げてくれるに違いない。
さっきの件で、仲間だと決めつけた綾菜はすかさず理佳に同意を求めた。
「わからないわけあるか。私もそこまでは鈍くない」
「ええっ。私だけ? 理佳ちゃん、早く教えてよ」
わからないのは自分だけだったとは。
急に、仲間外れになった気分。
「アンタが、ところ構わず、必殺の眼力を使った結果だろ。注目されるのは、自業自得」
「眼力は、理佳ちゃんにしか使ったことないよ」
綾菜は両手を前で組むと、理佳を見つめた。
女の子だけに通じる乙女光線。
