「琥珀。もう一度確認するけど、ホントのホントにきもだめしをするの?」

「諦めの悪い女だな。地下室へ入る許可もわざわざもらったんだ。やるに決まっている」

「ち、地下室? 聞いていないよ」

 この寮に地下室があるなんて話は初耳だ。

 日の光が届かない室内。湿った床。天井から落ちる水滴。ひび割れた鏡。

 その鏡に映るのは――。

 昔、無理やり見せられたホラー映画の光景が蘇る。

 絶対、無理。

「基本、普段は立ち入り禁止なんだよ。防空壕にも繋がっていて、危ないしね。綾菜ちゃんのために特別解放」

 そんな特別はいりません。

 衝撃で、口から魂が飛んでいってしまいそう。

「あの、やっぱり私……」