おうじさまのしつけ


俺は女のチャリのところへ行って
いとも簡単にロックを解除した。

「すごっ!
どうやって開けたんだよ!?」

「ん、だってこれ
俺のチャリだもん」

女の目の前でチャリのキーをふらつかせる。


「……」


女、逃走。


−ガシッ

させない。



「盗難するチャリが
俺の所有物だったとは
不運だったなぁ」

「……」

つーんとした顔で黙っている女。


「お前、何年だ?」

「何年だっていいじゃん」

つーんとそっぽを向く。

「お前、いっつもこうやって
人のチャリ盗もうとして
教師に追いかけられてるのか?」

「そんな軽いもんじゃない」

女は何かを悟るような口調だった。

急にこっちを向いてギロリと睨む。

「いいから離して。
セクハラ」

「なっ…!」

俺は反射的に女の肩を離すと
女は一目散に逃げていった。

逃げ足は早いなぁ…。