第一章 静寂


2007/5/24 21世紀前半
 薄暗い部屋の中―― 一人の青年が、椅子に腰掛け足を抱え指の爪を噛みながら目の前の大きなモニターを無表情のまま見つめている。
 モニターにはずらっと文字が書いてある。 リアルタイムで文字が下の方から増えていく。――突然、上の部分の文字が一瞬で変わる。
 男はその変化に瞬時に気付き、目の前にあったマイクを片手に取り、もう片方の手でマイクの横のスイッチを押し呟く。
「1627 17世紀前半――異変あり・・・第五修正班、直ちに出動せよ。」
 この男の呟きでいろんな部屋にいた男らがこの部屋に駆けてくる。男らは約・・・13人程度、椅子に腰掛けている青年の周りに集まる。
「今回も、"悪夢"の出現により【殺戮】【破壊】が行われた。約400年程前だ、そこまで負担はないだろう。
この"歴史"には君達が合っていると僕は踏んだ。"悪夢"を破壊し、回収してくれ。」
 青年が言い終わるとすぐ横にあった丸い人一人入れる窪みが光の柱が出現、男らは次々に光の中に飛ぶ込み吸い込まれていく。
一瞬の出来事で13人程の人間がいなくなった。青年は椅子の方向を変え、また大画面のモニターを眺める。

1626/12/13 17世紀前半
 空は快晴。入道雲があり、太陽の光が燦々と照っている。
 炎天下の中、集まっていた13人の男らはそれぞれの方向へと駆け出した。
一人は残り、二人組で走り抜けていく。放射状に散っていく彼らは――"返更教団 第五修正班"。
中でも同い年で一番若い二人がいた。その二人の片方が急に立ち止まる。
もう片方の青年はまだ走り続けている。