* その夜は、眠れなかった。 何度も寝返りをうちながら、彼女のことばかり考えていた。 明日、会ったところで自分が何を言いたいのか分からない。 あの日の言葉の真偽を確かめたい気もするけれど、聞かないほうがお互いのためだとも思えた。 相変わらずいつまでも中途半端で危険を冒したがらない俺は、それでも彼女の手触りのいい髪や、小さな肩、耳元で囁く魅惑的な声を思い返しながらその夜を過ごした。