「…とにかく、だめなの」 歯切れの悪い彼女は、らしくなかった。 「…あれで終わりなのか?」 しんと静まり返った教室で、耳に響く沈黙が痛い。 「俺は…会いたいよ。会って、お前に確かめたいことがある」 肝心なことは言わず、絞りだした言葉はそんなものだった。 長い沈黙の後、彼女はようやく小さく答えた。 「…分かった。明日、11時にアパートに来て」 それだけ言うと、彼女は静かに電話を切った。