「…先生。…先生?」 はっとして振り返ると、そこには俺が受け持っている生徒がいた。 「あ、ああ…ごめん」 ショートカットにすらりとした高身長のこの生徒は、陸上部のエースだが頭も良い。 「これ、持ってきました」 先日俺が出した課題を手渡す彼女。 「ああ…じゃあ次の授業までに採点して返すから」 「はい。ありがとうございます」 小さく礼をして、彼女は職員室を後にした。