「凍えちゃうね、そろそろ行こっか」 一分とも十分とも一時間とも思える間、そうしていた。 彼女はそう言って体を離すと、塀を降りて車に向かって歩きだした。 「白井、俺…」 何を言おうとしていたのかは、分からない。 だけど伝えるべき何かが、言うべき何かがある気が強くして、気付けば口を開いていた。