「なに、藪から棒に」 「別に」 自分で聞いておきながらたいして興味もなさそうに答える彼女の表情が見たかったけれど、歩調を速めることはしなかった。 「先生ってね、授業中が一番格好よかったよ」 ふふ、と悪戯っぽく笑って、彼女は振り向いた。 「やる気あるのかないのかわかんない顔で、でも簡潔で分かりやすい授業だったな」