「…じゃあ、またね」


ホテルを出た後、車で彼女の家まで送った。


着くなりすんなり降りようとする彼女。

いつもと同じ、余裕に満ちた冷静な微笑みを浮かべて。


さっきまで俺の腕の中であんなに乱れていたのに、未練なんて何もないみたいに別れようとする彼女がなんだかすごく遠く感じて、俺は無意識の内に彼女の腕を掴んでいた。