いぢわる王子は壁に寄りかかったまま軽く腕組みをして、余裕の態度であごをちょっと上に突き出す。


そして、冷ややかな目であたしを見下ろし、片方の口端をクイっとあげた。


うっわぁ、意地悪する気満々の顔!


嫌すぎる。


逃げ出しちゃおうっかな。


でも…
なんでだろ。


こんなときにまで、“カッコいい”と思ってしまうのは。


でも…
なんでだろ。


こんなときにまで、“好きだなぁ”と思ってしまうのは。