「満井サンは自分のこと嫌いなのかと思ってました。」



「…なんで?」




「なんでって…今、話してるの…ほぼ初めてじゃないですか、避けられているとばかり。」



「そうやったか?」



まぁ、そうなんやけど。


しょんぼりと芝生に腰をおろしてる幸崎がもし犬なら、きっとしっぽと耳はたれていた。



たしかに、

俺ら二人は話すのはこれが初めて。


スポドリとかタオル貰うときも

ん、

とか


あ。


しか言わんかったから…そう思われてもしゃあないねんけど。


まぁ、最初は気にくわんかったしなぁ…間違いではないなぁ。







「そんなしょんぼりすなや、悪かったって、ごめんな。」


そう笑って、勘違いしてた分と、少し意地悪をしたぶん、割と本気で謝って。


短くなった髪を後輩にするみたくくしゃくしゃとすると


「しょ…しょんぼりなんかしてません」


とぼそっとつぶやいてしばらく下をむいたままになった幸崎の耳が赤くて、やったこっちが恥ずかしくなった。








それからというもの、

とにかく以前とは比べものにならんくらい構うようになって、


「大輝、ゆきやはお前のペットちゃうねんから…(笑)」


「大、なんか丸うなったなぁ。一時期どうなることやらと思ったけど。」


「だいちゃんそれセクハラとちがうか!離れろやっ!」

なんて言われる始末。


「後輩可愛がってやっとんねん、悪いか」

「こいつが女?ないない、ここに残留してる時点で女すてとるやろ(笑)」


とまた幸崎の頭をわしゃわしゃと撫でた。



猫触ってるみたいで、こうすんのが結構好きやったんやけど。


「今日もしっかり働きや〜マネさん。」


そういうと素直に

「はい、」


と答えて作業にあたるあいつに惹かれんのにもう時間はかからんかった。