それから数週間、すっかり溶け込んだ空気の幸崎。


スタメンの先輩らもなんだか可愛がってるみたいだった。




なんだか、今までの奴らとはちゃうって、俺も思いはじめてた。






そんなある日のこと。
みんな帰ったあと、一人で練習しとると部室から出てきた幸崎を見つけた。

今じゃ、こいつは一番はやくきて一番遅くかえってるかもしれんくらいで、部室の鍵を預けられるくらいに信頼も集まっていた。




そしてこっからや。


意識がそれて、足元が狂ったんか、ぼんっと音をたてて飛んでったボールはうまいこと施錠の確認をしていた幸崎の頭の上に落ちた。



ぬぁ?!



とまぬけな声をあげてキョロキョロしている幸崎に思わず吹き出したんはよう覚えとる。



笑い声に気づいたあいつがボールを持って近づいてきてちょっと、動揺したんも。



だって、膨れっ面で歩いてきよるから、(笑)