「帰ろか、乗ってき…。」


かけられた声に上がった顔はなんとも言えないような切なげな顔だった。



んな顔すなや…。


「マネさん。先輩がおらんときは、(おらんくなってからも)俺が乗せたったるわ。特別やぞ?」


笑って、また頭を掻き回して、顔を見ずに自転車に跨がった。



「ありがとう…ございます。約束ですよ…満井サン。」


「ん?あぁ…、。」



この二人が付き合うことになったら、もう無理なんやろうけど。


悪あがきくらいしたってええよな?



後ろに重みが加わったことを確認して俺はペダルを漕ぎ出した。


この時間が少しでも長く続くように…。


ゆっくり、ゆっくり。