「おい、茉莉?」
少し低めの大好きな声が聞こえる。
今は、返事する気分じゃないんだよ、
ばか聡。
「頭、そんなに痛いのか?」
「っへ?」
心配そうな声がしたからあっさり自分の意志を曲げてしまった。
「タンコブなってない?」
なんて優しく言いながら私の頭を触る。
聡からしたらなんてことないことなのかもしれないけど、
私とっては大事件。
心臓がバクバクなってて、
顔に熱が集中して、
きっと聡にも私の思いが伝わってしまう…。
「茉莉?どした?顔…」
「っなんでもないから!」
顔を覗き込んできた聡の顔をパッと思いっきり逸らして目を泳がせる。
「おい…どうした?」
…どうしよう……
心臓は鳴り止まないし、
聡の顔が真っ直ぐ見れないし、
今にも、7年間の思いがあふれ出してしまいそう…。
「茉莉…」
すこし寂しそうに呟く聡に何故か泣きそうになる。
「…茉莉…あのさ…」
掴まれた腕を振り払ってしまった。
「っあ…聡…ごめん……」
そのとき、ちょうど良く鳴り出した午後の授業の始まりを告げるチャイム。
「チャ、チャイム!」
大声で叫んで私は教室を飛び出した。


