魔王様の好きな人



キスが終わると泣いていた。
私のファーストキスを奪った張本人は、なぜ泣くといった顔をしていた。

ふざけんな。
お前が悪い。



私は、悔しくてもっと泣いた。


「大丈夫ですか?」


そっと、ハンカチを差し出された。
私はハンカチを受けとるともっと泣いた。
もちろん嬉しくて…。



「もう貴方という人は、もう少し状況と相手の気持ちを考えてください。」



「なぁほっといていいの?佐伯原高彦。」


また別の声がした。


そうだ忘れていた。
もう全部あの人のせいだ。あの人を入っていくのを見なければ私は、男に初キスを奪われる事もなかった。