昼食も取り、みんなそわそわし出したので東さんに(正確には梓さんに)出してもらった浴衣を自室から持ってくる。
「これ女物ねー。で、男子の諸君はこっちの浴衣」
「キミは着ないのか」
「まあ、お祭りではしゃぐような歳でもないので……」
「いいじゃん、にぃに!」
話を聞いていたらしいリンが、後ろから顔をのぞかせる。
どうやらクロのことは敵視していないみたいだ。
「リン、にぃにの浴衣姿見たいなぁ」
「えー、面倒だよ。それに僕、多分似合わな……」
「大丈夫、大丈夫!にぃには何着ても似合うって!私が保証する」
リンの保証ほどあてにならないものはないんだけど。
何しろ全ての基準が『にぃに』だからね。


