五里霧中




はい、時間を戻しましょう。


小説っていうのは『回想―――』みたいなコトが出来るから便利だ。



「明日の夕方からだろう。たくさんお店が並んで、みんな着物を着ていた」


「あれは着物じゃなくて浴衣だよ。あとでお兄さんに出してもらおう」


久しぶりに現れたDは、楽しそうに夏祭りについてクロに教えている。


でも彼がそんな娯楽関係を知っていたとは驚きだ。


アルファにも平和に親と遊んでいた時期があったのかな。



それはどうでもいいとして。


追憶に浸るのは終わり。


Dに言われたとおり、人数分の浴衣を買いに行かなきゃなぁ。


東さんのところでも当たってみるか。