「クロ、夏祭りも知らなかったの?」 すっかり目が覚めてしまったので、体を起こしてクロを床に下ろす。 それでもなお、クロの口は閉じることを知らない。 「うん、初めて聞いたな。キミは知っていたのか?」 「常識だね」 「……なんだかキミに常識を説かれると、妙にイラッとするな」 あれ、もしかして僕見下されてる? 小さな疑惑の種が確信となって芽吹いた瞬間だ。