「ソナタ第二番。…好きなように演って。合わせるから」
「わかった」
実にありがたい言葉だ。
あたしは自由に弾くのが好き。
伴奏とかそういうのも、してもらえるんならそれは嬉しいんだけど、合わせて弾くのはちょっと苦手。
向いてないのかもしんない。
「間違ったらごめんね」
断りを入れておいて、大きく一度深呼吸をし……弓を弦に置いた。
「…!!」
この曲は……バイオリンはオブリガード。助奏だから。
あんまり目立ち過ぎちゃいけないんだよね。
でも消えないように前に出なきゃなんない。
一定の本筋を保ちつつ、上下に上手く揺れられたらいいな。
「!」
すぐに彼の音も入ってきた。
…すっごーい…。
ピアノのところも自分でバイオリン用につついてる。
なんだろ。
この人……演りやすい。
あたしが合わせようとしなくてもぴったり合ってくれる。
彼の音にも無理は感じない。
相性……とか?

