「あのさ、吉澤さんは自分がその…死んだこと、わかってるの?」 「…。」 吉澤さんは黙って表情も曇ってしまった。 「ごめん、変なこときいて。その…死んだ人間って自分が死んだことわからないとかいうだろ?だから…その。ごめん。」 「わかってるよ。ちゃんと。事故にあった時の記憶もあるし、病院で冷たくなった私もみた。葬式で泣いてるみんなも、全部みた。」 なんて、悲しい現実なんだ。 彼女は涙も見せず、そう言い切った。 こんなにもしっかりしている彼女に俺は、俺は? 何ができるんだろう。