現実と向き合え、自分自身と対峙しろ、逃げるな、言うのはとても簡単。
あたしは誰も信じない。誰にも本音なんか言わない、言えない。
いつも誰かを妬んでいる。誰かが、救いの手を差し伸べてくれるのを待っている。
あたしには虚言癖がある。人の気を惹くためには、どうでもいい嘘を吐く。自分の嘘の中に逃げ込んでいる時だけがとても幸せ。
子供の頃、本を読んで空想の世界の中で一人で遊ぶのが大好きだった。
空想の中では、誰もあたしを傷つけないから。
未だにその癖が抜けない。
今、断崖絶壁に立たされているにも拘わらず、あたしは考えることに嫌気が差すと、自分の空想の世界に逃げ込む。
現実逃避。もはやどっちが現実なのかすらわからなくなる。
お友達のお家に遊びに行ってくる!
娘の無邪気な声に一瞬我に反る。
あたしもできることなら
八歳に戻りたい。
八歳に戻れたらあたしは…
また空想の世界に呼び戻されて行く。
空想の世界は、あたしを守るシェルター。