それからは夢中だった。

ただ、怖い気持ちを飛ばすように、走って、走って、走って。

前もって、地図で調べていたから、なんなくクラブに着いたのはいいけど…


…やっぱり…怖い。

まだ陽は沈んでいないはずなのに、まるで闇の中に封じ込められたかのような感覚だ。

誰もが恐れるこの危険ゾーンに、たった女ひとりで足を踏みこんでしまった…。



…違う。


大丈夫。


この扉を開けたら、修ちゃんがいるじゃない。

怖い気持ちよりも、修ちゃんに会えると思ったら安堵の方が強かった。

ゆっくりと、錆びた金属の取っ手を引くように、目の前の扉を開けた