身代わりは所詮偽者だから何にもならなくて、己を馬鹿だと呪った大塚の十六歳と、
恋人のために馬鹿な小学生を演じていた近藤洋平の十六歳はあまりに差がありすぎる。
人を好きになることとか人を愛することとか、人一倍憧れているのに本当のところは何も知らない。
けれども俺の真剣な悩みなんて、あいつからしたらロマンチックでドラマチックでメルヘンチックな脳みそなだけで、
高校生の今、相談だと称し等身大でクラスメートにアツイ想いを語られたなら、『お前の趣味はポエム書きか!』と、奴は爆笑してスルーするに決まっている。
彼の唇に真っすぐな音符は似合わない、それがオシャレにお姫様を接待する彼なりの美学なのだろう。



