けれども魔法の効果は一時間少ししかなかったらしく、
目が醒めると俺が独り占めしていたのは可愛いあの子ではなく、
なんとまあまあ可愛い他人だったのだ。
そう、好きでもなんでもないただの恋人という肩書の存在。
すべてを悪夢だと思った。
田上結衣は二人が両思いの限り近藤洋平のもので、部外者な俺のものにはならないのに、
そんな簡単なことが分からなかった自分に対して普通にびっくりした。
お花畑の国を生きる恋人たち、マドカ高校のカップルは後世に語り継がれる童話になることを祈ったのは俺だった癖に。
そう、性格の良い人が使える魔法で、心の醜い奴しかかけられないのが呪いだ。



