だって、いつもは小学生みたいに賑やか呑気に馬鹿馬鹿しく騒音に近い形ではしゃいでいるのに、
あいつだけの世界にさらわれた時は、しっとり女の子らしくなるのかと想像したら堪らなかったし、
こんなにも俺が好きなのに、あいつなんかに触られてあの子は幸せがっているのかと考えたら気が変になりそうだった。
そうして嫉妬にかられた人間はおかしな魔法にかかってしまうらしく、
徐々に恋人が田上結衣に見えてきたのだから不思議な話。
まあまあ可愛い平民が、可愛い可愛いお姫様に思えてからは早かった。
今になり振り返れば、俺なんかがあの子に相応しい王子様になれる訳がないのだと夢を否定できたのに。



