なにもない手を前後に振れば、とりあえず足が明日へ動くから大丈夫だ。
どんなことがあろうと新しい一日が二十四時間経てば始まると俺は知ってしまっているから――……やや遡るなら、あれは二年生になる前の春休み。
バレンタインの後、田上結衣に告白をしたら見事に振られた衝動で、実を言うと俺は好きでもない女と交際することにした。
なんとなくこのままで居たら一生誰とも付き合えないんじゃないかと焦っただけで、自棄になるとかではない。
まあまあ可愛かった、中学の友達の紹介で知り合った女子校に通う同い年の子。
そうして三週間足らずで初めての恋人をベッドに寝かせて二十九秒後、不本意ながら自分は真の馬鹿だと知ることとなる。



